[ 文:橋本真由美 写真:橋本道継 ] 2015年2月24日


 京都伏見店の土間の壁にかけた古い温度計。最初からここにあったかのように馴染んでいますが、実は京都市中京区の古家具店で数年前に衝動買いしたものです。
ペアスロープ京都伏見 店内

 私はずいぶん前から京都伏見店の建具に取り付ける「引き戸の取っ手」を探しています。ホームセンターでも手に入るありふれた金具なのですが、年季の入った建物にホームセンターの真新しい金具というのも、なんだか味気ないですよね。

 といことで夷川通の古家具店で探してみましょう。



 京都御所の南側、夷川通(えびすがわどおり)。平安の都では「冷泉小路(れいぜいこうじ)」と呼ばれていた歴史ある道で、昔ながらの情緒は消えたものの、東西700mほどの距離に多くの家具店や古い建具屋が集まっています。



 見慣れた西洋家具から、人気の北欧デザインやアンティーク家具、日本の骨董品や昔の家具を扱う店まで、ジャンルも年代もさまざま。

 応接セットや婚礼家具の全盛期、昭和40〜50年代をピークに家具店の数はずいぶん少なくなってしまったそうですが、素朴さを残す街中の雰囲気があらためて見直され、最近は人気スポットとして雑誌やインターネットでよく目にするようになりました。



 重厚な構えの古い商家、新しいインテリアショップのすき間におしゃれなレストランや小さなコーヒーショップが紛れ込んでいる街中の狭い道。車に気を付けてしっかり目を凝らして歩きましょう。


建具屋さん。古い建具が店内にぎっしり。


「机屋」というものがあったのですね。江戸時代〜昭和初期のものが中心。



 「豆政」明治17年創業の老舗の豆菓子店。昔は夷川通の家具屋で婚礼家具を選び、この店でお祝いの引き菓子を…というお客さんも多かったのだそうです。

懐かしい豆菓子の量り売りや季節の豆菓子など、色とりどりで種類も豊富、京都のお土産にもお勧めです。 春らしい色合いの「すはまだんご」。きな粉餅に似た甘じょっぱさが美味しい。



 さて、話を戻して目的の「引き戸の取っ手」を探しに古家具店に入ってみます。

 「どうぞお越しやす〜」
「どこに何があるんか分からしまへんけど、ここも向かいもウチの店やさかいに、ゆっくり見てっておくれやす〜」


 と、明るいお母さんが年季の入った京ことばで話しかけてくれる。古い京ことばは、ご年配の方からしかすっかり聞けなくなりました。


確かに、何がどこにあるか分からしまへん…

 金具もきっとどこかにあるはず、と古家具と骨董品のすき間、隅っこ、時代背景も用途も分からないような置物の下や上、味わい深い家具や小物の数々に思わず衝動買いしてしまいそうな気持を抑えながら、探す探す探す…。






 積み重なった机と机の隙間で見つけましたよ、引き戸の取っ手。これはいったいいつからこの場所にあるのでしょうか(笑)。



 時代を重ねた味わいのある真鍮製。飾り気も何もないシンプルな金具ですが、京都伏見店の古い建具にはきっと似合うことでしょう。

 「たかが・されど」の自己満足なれど、こだわることは大人の愉しみ。古物探しは大人の宝探しのようなものかもしれません。

 新しいものと古いものが同居する夷川通。ぜひ、時間をかけて「こだわりの一品」を探してはいかがでしょうか。



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