[ 文:橋本真由美 写真:橋本道継 ] 2016年9月7日

秋になるとお腹が空きます。ご飯に漬物など、たまりませんね。京都には、すぐき漬け・千枚漬け・そして今回の主役であるしば漬けが京都三大漬物と呼ばれています。

なぜしば漬けを今回の主役にしたのか、それは食べたかったから。それでは話が終わってしまうのでもう少し語らせてください。


今では「しば漬け」というと野菜をしそ風味の調味料で漬け込んだものが全国で売られているのですが、本当のしば漬けは全く違い、ナスと赤紫蘇を塩のみで漬け込んで夏場に自然発酵させた「生紫葉漬け」といいます。

しかも生紫葉漬けは京都の大原でしか作られていない。となると、大原に本物の生紫葉漬けを食べに行くしかない。

ということで、大原にバイクを走らせることにしました。

国道367号線(通称・鯖街道)を福井方面に約10km、京都伏見店からでも約1時間かかるかどうか。山里とはいえ京都市内(左京区)なので、行楽シーズンを除くとそう時間はかかりません。


しば漬けのルーツは大原にあります。平安時代末期に平清盛の次女の建礼門院徳子が大原に隠棲した際、里人が大原の特産物である赤紫蘇の葉と、夏野菜を塩で漬けた保存食を献上すると「紫葉(しば)漬」と名付け非常に喜ばれたことから、しば漬けと呼ばれるようになったそうです。

寒暖の差が激しい大原が紫蘇の栽培に向いていることから漬物屋の多い京都の中でも、昔ながらの生柴葉漬けは、今でも大原でしか作られていないのです。

しば漬けや他の京漬物&白ご飯という最強の組み合わせを、好きなだけ食べられるワンダフルなお店があるので行ってみましょう。


「竃(かまど)炊きたてご飯 土井」(実際は土に点がつく)

「土井しば漬け本舗」大原本店に併設された食事処。漬物屋直営ですので、各種漬物とかまど炊きのご飯が食べ放題。もちろん購入することもできます。


定食でご飯、漬け物でご飯、しば漬けでご飯…漬け物もご飯も美味しいので食べ過ぎ覚悟でどうぞ。ご飯のかたさ加減が絶妙なのです。

このお店にある紫蘇コロッケはクセになります。見た目は普通のコロッケですが、その味はどういうものかは現地でどうぞ。



店の下には赤紫蘇畑が広がっています。

大原の里というと女性を連想する人が多いと思います。もちろん歌のイメージが強いのが一番ですが、先にも述べた、「平家物語」の中心人物の1人でもある建礼門院徳子が晩年を過ごした地であり、徳子の影響を受けた装束で紫蘇を売り歩いた女性を「大原女」と呼んだことなど女性にまつわる歴史が大変古く、静かで雪深い山里であったことから女性のイメージが定着したのでしょう。

参道の先にある三千院は、ぜひ訪れていただきたい古刹のひとつです。
三千院へと続く参道


その三千院の参道に、雰囲気のある漬物屋があるので行ってみることにしました。鯖街道から三千院への細い参道を徒歩5〜6分ほど登っていくと、樽がたくさん並ぶ古い漬物屋が見えてきます。


「志ば久 大原本店」
営業熱心なおばちゃん(観光地なので仕方がない)に勧められるがままにいろいろ試食。
生しば漬けと、まず京都でしか食べることがないと思われる「すぐき漬け」はぜひ試食していただきたいところです。
塩で漬け込むだけなので、塩味と、漬け込む時に発生する乳酸発酵による酸味が特徴。とてもシンプルな味。

※国道367号線沿いに広い専用駐車場(無料)を完備していますが、バイクでなら参道を上って店の近くの駐車場(無料)に駐車可能です。


少量で売られているので、少しずつ何種類かを買うと楽しいと思います。

「志ば久」の横の丘を上ると、素朴な山里風景が広がっていました。


三千院へと向かう細い参道はとても雰囲気があります。秋の行楽シーズンを控え、週末は多くの観光客で賑わうことでしょう。

もちろんそれはそれで賑わいがあってよいのですが、どちらかというと、しっとりとした静かな雰囲気を味わいたいと感じるのが大原の里。
駐車場もお食事処も空いていますし、行楽シーズンにはほんの少し早い今の時期、ゆったりと歩いてみられてはいかがでしょうか。

できればお腹に少し余裕をもたせて。



おわり



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